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お店を開く、ビルやマンションの管理を任される、職場で「防火管理者を取っておいて」と言われる。きっかけはさまざまですが、防火管理者は「試験に受かって取る資格」ではなく、消防法にもとづく講習を受けて修了証を受け取る資格です。そのため、通信講座や参考書を比べるよりも、「自分の建物にはどの講習が必要か」「どこで、いくらで、何日かけて受けるのか」を先に整理することが近道になります。
ところが調べ始めると、甲種・乙種、新規講習・再講習、防火管理と防災管理、さらに講習を実施する団体が日本防火・防災協会、東京消防庁、各市の消防局…と入り組んでいて、どこから手をつければよいのか迷いやすい分野です。この記事では、東京消防庁・日本防火・防災協会・横浜市・福岡市の公式サイトで内容を確認できた情報だけを使って、仕組みと選び方を整理しました。
最初に、押さえておきたい要点は次の3つです。
- 甲種と乙種は「建物の収容人員と延べ面積」で決まる(甲種は全ての防火対象物、乙種は小規模な建物のみ)
- 必要な講習の種類は、建物を管轄する消防署に確認する(建物の用途・規模で変わるため、どこで受ける場合も先に確認する)
- 受講料は実施団体と地域で違う(公式掲載で、乙種は2,500円〜7,000円、甲種の新規講習は公式掲載で6,000円〜8,000円ほどと幅があり、講習の種別や費用の性質は機関ごとに異なる)
なお、この記事は順位づけやおすすめの断定をするものではありません。講習の内容は法令で定められており、どの団体の講習でも得られる資格の効力は同じです。違いが出るのは、対象地域・日程・形式(会場かオンラインか)・費用なので、そこを公式情報で見比べられるように書いています。料金や日程は年度で変わるため、申込前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
防火管理者とは?何をする人で、どんな建物に必要か
防火管理者は、学校・病院・飲食店・ホテル・店舗・事務所・工場など、一定規模以上の建物で火災を防ぎ、万一のときに被害を小さくするために定められる責任者です。東京消防庁の公式ページでは、防火管理者は「防火管理上必要な業務を遂行することができる管理的又は監督的な地位にある者」で、所定の資格を持つ人が務めると説明されています。単に資格を持っているだけでなく、店長や施設の管理責任者のように、現場で指示を出せる立場の人が選ばれる仕組みです。
主な業務は、消防計画の作成、消火・通報・避難の訓練の実施、消防用設備等の点検・整備、火気の使用や取り扱いの監督、収容人員の管理などです。日本防火・防災協会の消防計画様式集には、消防計画の作成(変更)届出書や、防火・防災管理者の選任(解任)届出書といった届出様式が並んでおり、選任したら消防署へ届け出る流れになっていることがわかります。
どの建物で防火管理者が必要かは、建物の用途と、建物全体の収容人員で判断されます。東京消防庁や名古屋市などの公式ページをまとめると、目安は次のとおりです。
- 飲食店・ホテル・病院・物品販売店など、不特定多数の人が出入りする「特定用途」の建物:建物全体の収容人員が30人以上
- 工場・事務所・共同住宅・学校・倉庫など「非特定用途」の建物:建物全体の収容人員が50人以上
- 自力での避難が難しい方が入所する社会福祉施設などの「避難困難施設」が入る建物:収容人員が10人以上
これは「防火管理者を定める義務があるか」の入口の目安です。実際にはテナントビルのように管理権原が分かれている建物や、複数の用途が混在する建物もあるため、最終的な判断は建物を管轄する消防署に確認する、というのが公式の案内でも一貫しています。
甲種防火管理者と乙種防火管理者の違い(対象となる建物)
防火管理者の資格には「甲種」と「乙種」があります。違いを一言でいえば、甲種はどんな建物でも務められる資格、乙種は規模の小さい建物に限って務められる資格です。福岡市消防局の講習案内にも、甲種防火管理新規講習は「用途、規模、収容人員に関わらず、全ての防火対象物で防火管理者になることができる資格取得講習」と書かれています。
どちらが必要になるかは、建物の用途・収容人員・延べ面積で決まります。東京消防庁(牛込消防署)の公式ページの区分表をもとに、表にまとめました。
| 建物の区分 | 収容人員の目安 | 延べ面積 | 建物の種類 | 必要な資格 |
| 特定用途の建物(飲食店・ホテル・病院・店舗など) | 30人以上 | 300㎡以上 | 甲種防火対象物 | 甲種防火管理者 |
| 特定用途の建物 | 30人以上 | 300㎡未満 | 乙種防火対象物 | 甲種または乙種 |
| 非特定用途の建物(事務所・工場・共同住宅・学校など) | 50人以上 | 500㎡以上 | 甲種防火対象物 | 甲種防火管理者 |
| 非特定用途の建物 | 50人以上 | 500㎡未満 | 乙種防火対象物 | 甲種または乙種 |
| 避難困難施設が入っている建物 | 10人以上 | 面積に関わらず | 甲種防火対象物 | 甲種防火管理者 |
表のとおり、乙種で足りるのは「収容人員は基準を超えるが、延べ面積が小さい」建物に限られます。乙種の講習は1日で終わるぶん手軽ですが、将来、店舗を広げたり別の建物の管理を任されたりしたときに甲種が必要になる可能性があります。「いまの建物は乙種で足りるが、念のため甲種を取っておく」という選び方も、公式の区分上は成り立ちます(乙種対象の建物でも、甲種の資格者は防火管理者になれます)。
テナントビルの場合は「テナント部分」で判断される
ビルに入るテナントは少し複雑です。同じ東京消防庁の案内では、テナントの区分はテナント部分の用途と収容人員で判断される形になっています。たとえば、甲種防火対象物に入る特定用途のテナントでも、そのテナントの収容人員が30人未満なら「甲種または乙種」で足りますが、30人以上なら甲種が必要です。非特定用途のテナントなら50人が分かれ目です。ビルのオーナーと入居者のどちらが何を選任するのかも含め、物件ごとに消防署へ確認しておくのが確実です。
もうひとつ押さえておきたいのは、乙種の講習は「小規模な建物で防火管理者に選任される方」のための講習だという点です。東京消防庁の講習案内にも、乙種は「一定以下の建物や事業所等で防火管理者または統括防火管理者として選任される方を対象とした講習」で、詳細は管轄の消防署に確認するよう書かれています。
防火管理講習の種類と所要時間(新規講習・乙種・再講習)
資格を取るための講習は、大きく「新規講習」と「再講習」に分かれます。さらに、防火管理に加えて大規模建築物などで必要になる「防災管理」の講習が別にあり、両方を一度に受ける「防火・防災管理新規講習」も用意されています。日本防火・防災協会の公式ページに掲載された内容を、一覧にまとめました。
| 対面型の日数 | オンライン型 | 受講料(税込) | 主な対象 | |
| 甲種防火管理新規講習 | 連続2日間 | 受講時間10時間(受講期間12日間) | 8,000円 | 初めて甲種の資格を取る方 |
| 乙種防火管理講習 | 1日間 | 受講時間5時間(受講期間7日間) | 7,000円 | 小規模な建物の防火管理者 |
| 防災管理新規講習 | 1日間 | 受講時間5時間(受講期間7日間) | 7,000円 | 甲種修了者で防災管理者になる方 |
| 防火・防災管理新規講習 | 連続2日間 | 受講時間12時間(受講期間14日間) | 10,000円 | 防火と防災の両方が必要な方 |
| 甲種防火管理再講習 | 半日 | 受講時間2時間(受講期間5日間) | 7,000円 | 再講習の受講義務がある甲種修了者 |
| 防火・防災管理再講習 | 半日 | 受講時間3時間(受講期間5日間) | 7,500円 | 防火・防災の両方の再講習が必要な方 |
※上表は日本防火・防災協会の公式サイト(2026年10月確認)の掲載内容です。同協会は、令和9年度実施分からの受講料改定を告知しているため、来年度以降に受ける場合は最新の料金表を確認してください。
日本防火・防災協会の講習は、「中学校卒業程度以上の学力を有する方で日本語が理解(読み書き、会話)できる方」が対象とされています。オンライン型は期間内なら24時間、分割して受講できるため、仕事の合間に進めたい人には向いています。ただし、オンライン講習の申込はキャンセルができない点が公式ページで明記されているので、日程には余裕を持って申し込むのがよいでしょう。
甲種新規講習で学ぶ内容と時間割の例
甲種の新規講習は2日間で、座学が中心です。福岡市消防局の時間割(令和8年度)を例にすると、1日目は「防火管理の重要性・防火管理制度」「火災・地震の基礎知識」「施設及び設備の維持管理」、2日目は「火気管理と出火防止対策」「自衛消防の組織と教育訓練」「防火管理の進め方と消防計画の作成要領」と続き、最後に効果測定(理解度の確認)と修了証の交付で終わります。東京消防庁の案内でも、共通の内容は「防火管理制度」「消防計画・自衛消防活動」「消防用設備等の取り扱い」「効果測定」とされています。
講習の途中で遅刻・早退をすると、修了と認められない場合があります。福岡市の案内には、「原則として遅刻した場合は受講できません。また、早退した場合も講習修了とは認められません」と明記されています。2日間の予定を空けられる日を先に確保してから申し込むのが安全です。
再講習(更新)は必要?対象と受講期限
「防火管理者の資格には更新があるのか」と聞かれることが多いのですが、東京消防庁の公式FAQでは、防火管理講習修了証に有効期限はないとされています。つまり、新規講習を修了した資格そのものが失効することはありません。その一方で、「再講習」を受ける義務がある人が決まっています。
東京消防庁のFAQによると、甲種防火管理再講習の受講義務があるのは、甲種防火管理新規講習の修了者で、収容人員300人以上の特定用途の甲種防火対象物で、防火管理者に選任されている方に限られます(小規模事業所等の防火管理者は含まれません)。受講期限は次の2パターンです。
- 防火管理者に選任された日の4年前までに新規講習または再講習を修了している方:選任された日から1年以内
- それ以外の方:新規講習または再講習を修了した日以後の最初の4月1日から5年以内
再講習の対象は、特定用途で収容人員300人以上の建物の防火管理者とされ、周期は「5年以内ごと」と案内されています(対象かどうかは管轄の消防署に確認してください)。選任されていない期間は再講習を受ける必要がありません。また、東京消防庁のページには、後述する消防職員経験者や安全管理者などの資格者は、再講習の受講が不要とする記載もあります。自分が対象かどうかは、選任されている建物を管轄する消防署に確認するのが確実です。
再講習は、新規講習に比べて短いのが特徴です。日本防火・防災協会では、甲種防火管理再講習が対面で半日、オンラインなら受講時間2時間。横浜市でも、甲種防火管理再講習のオンライン動画は約2時間です。
講習を受けずに防火管理者になれる?資格取得の他の方法
防火管理者の基本ルートは講習の修了ですが、実は職歴や別の資格にもとづいて、講習なしで資格者として認められるケースがあります。東京消防庁の「防火・防災管理者の資格」ページには、講習修了者のほかに次のような資格者が一覧で載っています(2026年10月確認。講習修了者以外は、甲種防火管理者の資格として扱われます)。
- 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職(消防士長以上など)に1年以上あった方
- 労働安全衛生法にもとづく安全管理者として選任された方
- 危険物保安監督者として選任された方で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている方(過去に選任された場合も含む)
- 国・都道府県の消防事務従事職員で、1年以上管理的又は監督的な職にあった方
- 警察官またはこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった方
- 建築主事または一級建築士の資格を持ち、1年以上の防火管理の実務経験がある方
- 市町村の消防団員で、3年以上管理的又は監督的な職(班長以上)にあった方
- 鉱山保安法にもとづく保安管理者として選任された方など
このほか、防火対象物点検資格者免状の交付を受けている方も防火管理者の資格者として載っています(防災管理者の資格にはなりません)。いずれも証明書類の提出が必要で、実務上は「たまたま該当する人」向けの道です。ゼロから資格を取りたい場合は、講習を受けるのが最も一般的で確実です。
消防設備士や危険物取扱者との関係もよく質問されます。上記の東京消防庁の一覧に消防設備士は載っていません(同ページの記載の範囲では、消防設備士の免状だけで防火管理者の資格者になる扱いにはなっていません)。危険物取扱者は、「甲種の免状を持ち、危険物保安監督者に選任された方」という条件つきで一覧に入っています。どちらも、目指す場合は別の学習が必要です。消防設備士の学習方法は、次の記事で比較しています。

消防設備士は、消火器やスプリンクラー、火災報知設備などの工事・整備を行う国家資格で、防火管理者とは役割が異なります。建物の防火管理を担うのが防火管理者、設備そのものの点検・整備を担うのが消防設備士、と分けて理解すると整理しやすくなります。危険物の資格について知りたい方は、危険物取扱者の通信講座を比較した次の記事が参考になります。

また、職場で選任が必要な資格は防火管理者だけではありません。常時50人以上の労働者がいる事業場で必要になる衛生管理者については、通信講座を比較した次の記事で整理しています。

防火管理講習を受けられる実施機関4つ|地域・形式・料金を公式情報で比較
防火管理講習は、国が登録した講習機関(日本防火・防災協会など)と、消防本部(東京消防庁や各市の消防局)が実施しています。実施主体によって、受講できる地域・対象者の条件・形式・料金が異なります。ここでは、公式サイトで講習の存在・料金・形式を確認できた4つの実施機関を、順位をつけずに並べます。
このほかにも、大阪市をはじめ、全国各地の消防本部や防火協会が講習を実施しています。お住まいの地域や、防火管理者に選任される建物がある地域の消防署・消防本部の案内も、あわせて確認してください。
| 新規講習の形式 | 受講料(公式掲載) | 申込条件・備考 | |
| 日本防火・防災協会(全国) | 対面型:甲種は連続2日間 オンライン型:甲種は受講時間10時間 | 甲種新規8,000円(税込) 乙種7,000円(税込) | 中卒程度以上の学力・日本語理解が条件。オンラインはキャンセル不可 |
| 東京消防庁・東京防災救急協会(東京都内) | 防火・防災管理新規講習:オンライン約7時間+会場1日 乙種:会場1日 | 教材費のみ 新規7,000円・乙種2,500円(税込) | 東京都内(稲城市を除く)で選任される方のみ。資格取得だけが目的の申込は不可 |
| 横浜市消防局(横浜市) | 防火・防災管理新規講習:オンライン約11時間+会場半日 乙種:オンライン約5時間 | 防火・防災管理新規6,800円 乙種4,400円(非課税) | 横浜市在住・在勤、または市内で選任予定の方。顔写真付き証明書とカメラ付き端末が必要 |
| 福岡市消防局(福岡市) | 甲種防火管理新規講習(集合型・対面):2日間 オンライン型(オンデマンド方式)もあり | 甲種新規6,000円(非課税) | 福岡市在住・在勤、または市内で選任予定の方。各回定員135名 |
※表の受講料は、講習の種別(甲種のみ/防火・防災管理の新規/乙種)や費用の性質(教材費のみなど)が機関ごとに異なります。金額の高低を単純に比べることはできないので、申込む講習の種別と対象者の条件を、必ず各機関の公式ページで確認してください。
1. 日本防火・防災協会(全国・対面型/オンライン型)

日本防火・防災協会は、消防法にもとづく防火管理者・防災管理者の資格取得講習を実施している一般財団法人です。公式ページでは、甲種防火管理新規講習(対面は連続2日間、オンラインは受講時間10時間で受講期間12日間)・乙種防火管理講習・再講習などを、対面型とオンライン型の2つの形式で案内しています。
近くで日程が合う会場を探したい人は対面型、仕事の都合で日程が読めない人はオンライン型、というように、生活リズムに合わせて形式を選べるのが特徴です。オンライン型は期間内なら24時間、何回かに分けて受講できる点が公式ページに明記されています。受講料は甲種新規講習が8,000円(税込)、乙種が7,000円(税込)です。
注意したいのは2点です。ひとつは、受講すべき講習の種類を事業所の管轄の消防本部(局)・消防署に確認するよう、公式ページが案内していること。もうひとつは、同協会では東京消防庁や他の消防局・消防本部が発行した修了証の再発行は行っていないことです。修了証をなくしたときは、発行元に問い合わせる必要があります。
| 実施主体 | 一般財団法人 日本防火・防災協会 |
| 講習の種類 | 甲種防火管理新規講習 乙種防火管理講習 防災管理新規講習 防火・防災管理新規講習 甲種防火管理再講習 防火・防災管理再講習 |
| 形式 | 対面型/オンライン型(期間内は24時間、分割受講可) |
| 受講料 | 甲種新規8,000円・乙種7,000円(いずれも税込)。令和9年度実施分から改定予定の告知あり |
| 公式サイトで確認した事項 | 講習の種類・日数・受講時間・受講料・オンラインのキャンセル不可・修了証再交付の範囲 |
2. 東京消防庁・東京防災救急協会(東京都内で選任される方)

東京都内の建物で防火管理者に選任される場合は、東京消防庁が案内する講習が基本になります。東京消防庁の公式ページには「防火管理者や防災管理者として東京都内(稲城市を除く)の建物や事業所に選任される方に限り申請できます」とあり、東京都以外で選任される方や受講義務のない方は申請できません。資格取得だけを目的とした申込も受け付けていない点は、他の地域とは大きく違うところです。
講習の形式は、防火・防災管理新規講習がオンライン講習(動画視聴約7時間)+会場での実技講習1日、乙種防火管理講習が会場での1日講習です。窓口申請で受ける場合は、対面講習2日間の選択肢もあります。講習にかかる費用は教材費で、令和7年4月の講習からの金額として、防火・防災管理新規講習が7,000円、乙種防火管理講習が2,500円、甲種防火管理再講習・防火・防災管理再講習がそれぞれ2,200円(いずれも税込)と公式のFAQに記載されています。オンラインで受ける場合は、別途教材の配送代がかかります。
乙種の会場講習は、定員に限りがあります。牛込消防署の乙種防火管理講習(署講習)の案内では、令和8年2月の講習は定員18名で満席となった旨が告知されていました。乙種は開催回数が少ない場合があるため、早めの確認が必要です。
| 実施主体 | 東京消防庁/公益財団法人 東京防災救急協会(教材の販売など) |
| 対象 | 東京都内(稲城市を除く)で防火管理者・防災管理者に選任される方 |
| 形式 | 防火・防災管理新規:オンライン約7時間+会場1日(窓口申請なら対面2日)/乙種:会場1日 |
| 費用(教材費・税込) | 新規7,000円/乙種2,500円/再講習2,200円 |
| 公式サイトで確認した事項 | 申請条件・形式と時間・教材費・再講習の受講期限・修了証に有効期限がないこと・科目の一部免除の対象 |
3. 横浜市消防局(横浜市在住・在勤、または市内で選任予定の方)

横浜市は、防火・防災管理新規講習・乙種防火管理講習・再講習のオンライン講習を公式ページで案内しています。受講対象は、横浜市に居住または在勤の方、または横浜市内の建物で防火管理者・防災管理者に選任される予定の方(どちらか一方に当てはまればよい)です。中学校卒業程度以上で日本語が理解できること、顔写真付きの証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)を持っていることも条件です。
動画は、乙種防火管理講習が約5時間、防火・防災管理再講習が約3時間、甲種防火管理再講習が約2時間で、受講期間はいずれも2週間以内。防火・防災管理新規講習は動画約11時間に加え、指定日に横浜市研修センターで半日の講習(9時20分〜12時)を受ける必要があります。不正受講防止のためカメラ機能のある端末が必須で、支払いはキャッシュレス決済のみです。
受講手数料(非課税)は、防火・防災管理新規講習が6,800円、乙種防火管理講習が4,400円、防火・防災管理再講習が4,000円、甲種防火管理再講習が3,800円です。自治体が条例にもとづいて定める手数料のため、民間団体の講習より低めに設定されています。
| 実施主体 | 横浜市消防局 |
| 対象 | 横浜市に居住・在勤の方、または市内で防火管理者等に選任予定の方 |
| 形式 | オンライン講習(動画)。新規講習は会場での半日講習が別にある |
| 受講手数料(非課税) | 防火・防災管理新規6,800円/乙種4,400円/防火・防災管理再4,000円/甲種防火管理再3,800円 |
| 公式サイトで確認した事項 | 対象者・動画の時間・受講期間・手数料・支払方法・必要な端末 |
4. 福岡市消防局(福岡市在住・在勤、または市内で選任予定の方)

福岡市は、令和8年度の甲種防火管理新規講習を、集合型(対面方式)とオンライン型(オンデマンド方式)の2つで案内しています。集合型は福岡市民防災センター(早良区百道浜)で開かれ、各回の定員は135名、年間で全16回の日程が設けられています。受講対象は、福岡市内に居住している方、福岡市内で勤務している方、福岡市内の建物で防火管理者になる予定の方のいずれかです。
受講料は6,000円(非課税)で、初日の受付時に現金またはキャッシュレス決済で支払う方式です。時間割は1日目が10時〜17時、2日目が10時〜15時30分。2日間とも座学が中心で、2日目の講習後には、VR体験・消火器の取り扱い・煙からの避難・地震体験を自由参加で体験できます。申込はインターネットか消防署の窓口で、電話・FAXでは受け付けていません。
また、消防設備点検資格者講習や自衛消防業務講習を修了している方は、申請により講習科目の一部(1日目午前の「防火管理の重要性・防火管理制度」)の免除を受けられます。ただし、効果測定では免除された科目からも出題される点は、福岡市も東京消防庁も共通です。
| 実施主体 | 福岡市消防局 |
| 対象 | 福岡市に居住・在勤の方、または市内で防火管理者になる予定の方 |
| 形式 | 集合型(対面)2日間/オンライン型(オンデマンド) |
| 受講料 | 甲種新規6,000円(非課税) |
| 公式サイトで確認した事項 | 対象者・日程・定員・会場・時間割・受講料・一部免除の条件・申込方法(令和8年度) |
自分に合う講習の選び方|ケース別の考え方
ここまでの情報をもとに、状況別の選び方を整理します。繰り返しになりますが、必要な講習の種類は管轄の消防署で最終確認してください。
- 東京都内の建物で選任される人(まず東京消防庁の講習案内を確認し、新規講習か乙種かを管轄の消防署に相談して、電子申請か窓口申請で申し込む)
- 横浜市・福岡市など、自治体が講習を実施している地域の人(その自治体の消防局の案内で、居住・在勤・選任予定のいずれかを満たすか確認する)
- 近くに講習会場がない人、日程が読めない人(日本防火・防災協会などのオンライン型を検討。会場での実技講習が別にあるタイプもあるので要確認)
- 建物の規模が小さい人(乙種で足りるかを消防署に確認。乙種は1日(オンラインなら約5時間)で済むが、開催回数が少ない地域もある)
- 将来、別の建物でも防火管理者を務める可能性がある人(甲種の取得を検討。甲種はどんな建物でも防火管理者になれる)
費用の面では、同じ「新規講習」でも、日本防火・防災協会の甲種は8,000円(税込)、福岡市は6,000円(非課税)、東京は教材費7,000円、横浜市は6,800円と、実施主体で差があります。ただし、講習の趣旨や法的な効力が変わるわけではなく、居住地・選任される建物の所在地・日程の合うタイミングのほうが決め手になりやすいでしょう。
申込から修了証を受け取るまでの流れ
どの実施機関でも、基本的な流れは共通しています。公式サイトで確認できた手順をもとに、5つのステップにまとめました。
- 必要な講習を確認する(建物を管轄する消防署に、甲種か乙種か、新規講習か再講習かを問い合わせる)
- 実施機関と日程を選ぶ(地域の条件を確認し、対面・オンラインの形式と受講料も見比べる)
- 申し込みと支払いをする(インターネット申込が主流。支払方法は機関によって異なり、キャッシュレスのみのところもある)
- 講習を受ける(遅刻・早退は修了と認められないことがある。最後に効果測定がある)
- 修了証を受け取り、選任後に消防署へ届け出る(防火管理者の選任届出書・消防計画の作成届出書などを提出)
修了証は、会場講習なら当日の交付、オンライン講習の再講習なら後日の郵送など、形式によって受け取り方が異なります。横浜市の案内では、防火・防災管理新規講習は実技講習日に会場で修了証を交付し、再講習は期間内に受講が完了した方に後日郵送されます。
防火管理者は独学・通信講座で取れる?
結論から言えば、独学だけで防火管理者の資格を取ることはできません。理由は、防火管理者の資格は試験の合否ではなく、法令で定められた講習の課程を修了することが基本のルートだからです。東京消防庁の資格一覧でも、講習修了者の資格要件は「東京消防庁、(一財)日本防火・防災協会、消防本部などが行う防火管理又は防災管理に関する講習の課程を修了した者」とされています。
そのうえで、講習を受ける前の準備なら、独学でも十分に進められます。講習の最後には効果測定があるため、事前に基礎を押さえておくと、講習当日に理解しやすくなります。
- 自分の建物の区分を確認する(用途・収容人員・延べ面積を整理し、甲種か乙種かを管轄の消防署に確認)
- 消防計画の例を見ておく(日本防火・防災協会の消防計画様式集に、小規模用・中規模用・共同住宅用などの様式と作成例が公開されている)
- 講習で配られるテキストを読み込む(東京消防庁では教材を事前購入する方式。講習中も使うので、事前に目を通しておく)
防火管理や消防の基礎知識を、書籍でさらに補いたい人は、次のバナーから探してみてください。講習の代わりにはなりませんが、予習や、選任後の実務で役立つ参考書を探せます。
防災の知識を体系的に学びたい場合は、民間資格の防災士という選択肢もあります。防災士は研修と試験を経て取得する資格で、防火管理者とは制度が異なります。違いは、防災士の講座を比較した次の記事で詳しくまとめています。

よくある質問
Q. 防火管理者になるのに試験はありますか?
A. 防火管理者の講習には、最後に効果測定(理解度の確認)があります。福岡市の時間割では、2日目の最後に効果測定と修了証の交付が組まれています。講習を修了して修了証を受け取ることが資格取得の基本ルートで、一般的な資格試験のような受験はありません。
Q. 甲種と乙種、どちらを取ればよいですか?
A. 選任される建物が乙種防火対象物(特定用途で収容人員30人以上かつ延べ面積300㎡未満、非特定用途で50人以上かつ500㎡未満)であれば、乙種でも防火管理者になれます。ただし、甲種はどの建物でも務められます。将来の異動や店舗の拡大も見込む場合は、甲種を取るという選び方もあります。最終的には管轄の消防署に確認してください。
Q. 講習はオンラインだけで修了できますか?
A. 講習によって異なります。日本防火・防災協会は、修了証の取得まで完全にオンラインで受けられるオンライン型講習を案内しています。一方、東京消防庁の防火・防災管理新規講習(オンライン講習約7時間+会場での実技講習1日)や、横浜市の防火・防災管理新規講習(動画約11時間+会場での半日講習)のように、会場での受講が必須のタイプもあります。申込前に形式を確認してください。
Q. 東京都以外に住んでいても、東京の講習を受けられますか?
A. 東京消防庁の公式ページでは、申請できるのは東京都内(稲城市を除く)の建物や事業所に防火管理者・防災管理者として選任される方に限られ、東京都以外で選任される方や受講義務のない方は申請できません。自治体ごとの条件があるため、選任される建物の所在地で受けられる講習を確認しましょう。
Q. 再講習を受け忘れたらどうなりますか?
A. 再講習の受講義務がある方には、法令で受講期限が定められています。期限を過ぎた場合の扱いは建物を管轄する消防署によって対応が異なる場合があるため、気づいた時点で早めに消防署へ相談してください。新規講習の修了証そのものに有効期限はありません。
Q. 修了証を紛失したときはどうすればいいですか?
A. 修了証を発行した機関に再交付を申請します。日本防火・防災協会は修了証再交付申請の専用ページを設けていますが、東京消防庁や他の消防局・消防本部が発行した修了証の再発行は行っていません。発行元の機関に問い合わせてください。
Q. すでに別の講習を修了していますが、科目の一部が免除されますか?
A. 東京消防庁の公式FAQでは、自衛消防業務講習・防火対象物点検資格者講習・防災管理点検資格者講習の修了証を提示すると、防火・防災管理新規講習などの科目の一部を免除できます(自衛消防技術認定証は対象外)。福岡市でも、消防設備点検資格者講習・自衛消防業務講習の修了者は科目の一部を免除できます。なお、効果測定は免除科目からも出題されます。
【豆知識】火災の状況と防火管理の重要性
消防庁が公表した「令和7年(1〜12月)における火災の状況(概数値)」から、防火管理が求められる背景を数字で確認します。
- 総出火件数は40,783件で、前年より3,642件(9.8%)増加。平均すると約13分に1件の火災が発生した計算になります。
- 火災種別では建物火災が22,345件(54.8%)で最多。
- 火災による総死者数は1,414人で、前年より37人(2.5%)減少。住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)は970人で、前年より60人(5.8%)減少しましたが、そのうち65歳以上が730人(75.3%)を占めています。
出火件数は前年より増え、死者数は減少と、傾向が分かれています。防火管理者は主に事業所や共同住宅などの建物の火災対策を担う役割で、住宅火災の数字は一般家庭での備えの参考として見るのが適切です。
出典:消防庁「消防の動き 2026年7月号」掲載の「令和7年(1〜12月)における火災の状況(概数値)」(消防庁ホームページ)。概数値のため、今後の確定値で変わる可能性があります。調査機関の推計であり、今後を保証するものではありません。最新情報は公式サイトでご確認ください。
まとめ
防火管理者は、建物の規模に合った講習(甲種か乙種)を選び、管轄の消防署に確認したうえで受講するのが基本です。理由は、必要な資格の種類が建物の用途・収容人員・延べ面積で決まり、講習の内容や申込条件も実施機関と地域ごとに異なるからです。たとえば、東京都内の選任なら東京消防庁、横浜市や福岡市なら各市の消防局、全国的にはオンライン型を含む日本防火・防災協会の講習が選択肢になります。
まずは、自分が選任される建物を管轄する消防署に「どの講習が必要か」を確認し、そのうえで、対象地域・日程・受講形式・料金を各機関の公式サイトで見比べてみてください。料金や日程は年度ごとに変わるため、申込前に必ず最新情報を確認しましょう。

